建築学からの家相鑑定

古くて新しい問題〈悩み〉「家相」

一つの家庭にあって、古くて新しい問題は嫁姑の確執などと言われますが、家の新築や増築をするときに直面する古くて新しい問題〈悩み〉の一つに「家相」があります。

「家相」の良し悪しが、その人、その家族の運命や生命の長短、さらには子係の栄枯盛衰をも左右する、などと言われると、誰しもが「家相」とは得体の知れぬ恐ろしいもの、どうしてよいか分らない難かしいものという認識が先に立ち、心を痛め、不安をつのらせて右往左往してしまいます。


方位家の家つぶし
一方では 「方位家の家つぶし」とか 「家相鑑定家の家建たず」という諺があり、あまり方位とか家相にこだわると自分の家すら建てられなくなる、という警鐘句を支持し、「家相」を迷信という言葉に置き換えてこれを無視する人もいます。

建築士が行う総合的な家相診断とは
建築設計という職業意識をもって、この「家相」を検証してみますと、非常に科学性に富んだもの、データにうらづけられた統計学的なもの、風土や気象をよく観察した環境工学的なもの、公衆衛生学的なもの、現代の建築計画が研究し体系化しようとしている学術的な真理や理想が非常に多く含まれていることに驚ろかされます。

 又、この中には時代や環境の背景が変ったために意味を失い陳腐化してしまっているものもありますし、迷信めいたものや語呂合せ的な駄洒落などもあります。

「敷地の真ん中(□)に木を植えるな。これすなわち困となる」これはなるほど困ります。駄酒落といって一笑に付されてしまいそうですが、これとて実際問題、庭に大きな木を植えると、採光、通風が悪くなり、枝や落ち葉が建物を壊したり、根が張って建物を基礎・土台から崩すこともあり、貴重な教訓であると思います。

 このように「家相」の言わんとするところを虚心に考え、気軽につきあってみると意外にやさしく庶民的な温もりすら感じられます。そして時代を超えて庶民が得た生活の知恵を次代の庶民に伝える伝承としての「家相」の役割・生命が感じられます。

重要なポイント
一般に「家相」では、「三所三備」に重点をおいて検討します。三所とは、東北方(鬼門)と西南方「うら鬼門)および中央の三個所を指します。三備とは、便所、かまど(レンジ)、井戸(台所の水栓)の三つの設備をいいます。

 なお家の中央を設定する考え方として次のものがありますが、当センターでは通常(1)又は(2)を採用しています。

(1)全体の二分の一までの出張り、欠込みは切り捨てて
東西と南北のそれぞれの二等分線の交点を家の中央(中心)と考てえる。
(2)家全体の面積の重心を中央(中心)と考える。
(3)大屋根の大棟の中央を家の中央(中心)と考える。
(4)大黒柱を家の中央(中心)と考える。
(5)主人の居室の中央を家の中央(中心)と考える。
(6)その他

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